歌声のお悩み相談室 #09
頑張って大きな声を出しているのに、ざわついた場所では届かない。近くで聞けば普通に鳴っているのに、離れると消えてしまう。この悩みの多くは、声の大きさの問題ではありません。出したあとの声を、どの高さに集められているかの問題です。
不思議に思ったことはないでしょうか。声が小さいのに、なぜかよく通る人がいます。プロの歌手やアナウンサーの声を機械で分析すると、共通する特徴が見つかります。人の耳が特に敏感な高さの成分(3kHz前後)が、しっかり鳴っているのです。人の耳に「届きやすい」高さの成分だと考えてください。
逆に、声が通らない・こもると感じる人の声には、この成分がほとんど入っていないことが多いです。声の大きさは足りていても、耳に届きやすい成分が足りていない状態です。ここで大事なのは、怒鳴って音量を上げるだけでは、この成分が狙いどおりに強く鳴るとは限らないことです。「大きい声」と「通る声」は別物です。
この成分は、声そのものを大きくして作るものではありません。声帯で生まれた音には、もともといろいろな高さの成分が混ざっています。その混ざりものを、口の奥から喉にかけての空間の形で、届きやすい高さに集めるのです。だから同じ声量でも、集められている人の声は遠くまで届きます。
多くの場合、必要なのは大声のトレーニングではありません。いまの声量のまま、響きが集まる形を見つける練習です。やることは3つです。
なお、声帯の振動自体が弱い場合は、先にそこを改善するほうが早く進みます。そちらは「声が細い・迫力が出ない」で扱っています。
いまどこまで響きが集まっているかは、実際に声を聴くことでわかってきます。体験レッスンでは、トレーナーがあなたの声を分析し、あなたにあった練習メニューをお渡しします。
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