歌声のお悩み相談室 #08
よくあるお悩み
「フレーズの最後で息が切れちゃうんです。声量を出そうとすると苦しくて。もっと肺活量をつけないとダメなんでしょうか?」
足りないのは、息の「量」ではなく「使い方」かもしれません。
フレーズの最後で息が切れる。声量を出そうとすると苦しい。肺活量のせいだと思われがちですが、多くの場合、足りないのは息の「量」ではありません。吸えていないのではなく、吐いた息の多くが声にならないまま出ていっている可能性が高いです。
01
息が続かない正体は、肺活量より「息のむだづかい」かもしれません。
声は、吐いた息が喉の奥の声帯という小さなひだをふるわせることで生まれます。ここで大事なのは、声帯の閉じ方が浅いと、声にならないまま素通りしていく息が増えるということです。これを息漏れと言います。
ささやき声を思い出してください。息はどんどん出ていくのに、ボリュームはとても小さいです。息漏れの多い声は、あの状態がうすく混ざったまま歌っているようなものです。声量も同じ理屈で、頑張って息を強く吐くほど漏れも増えるので、苦しいのに声は大きくなりません。この悪循環に入っている可能性があります。
声帯がしっかり閉じれば息は声に変わります。すき間があると、声にならないまま息が漏れていきます。
02
整えるのは吐く量ではなく、その息を受け止める側かもしれません。
ここで多くの人が、吐く量を増やす方向へ行きます。ですが声帯の閉じ具合がゆるいままだと、増やした息はそのまま漏れて出ていきます。苦しいのに声は大きくならず、お腹で押す癖だけが残ります。多くの場合、先に整えるのは吐く量ではなく、その息を受け止める側です。やることは3つです。
- 息の勢いを上げずに、声が鳴る閉じ具合を探す。いま出せている息の量のままで、声にしっかり変わる手応えを探る。
- リップロールやストロー、ハミングを使う。口先を軽くふさいで声を出すと、少ない息でも声が鳴りやすくなるので、閉じ具合を探しやすくなる。
- その手応えを保ったまま、扱う音の高さと言葉を少しずつ広げる。
息をむだなく声に変えるちょうどよい閉じ具合は、締めれば苦しく・ゆるめれば漏れる、その間の思っているよりずっと狭いところにあります。しかも息漏れは自分の耳では気づきにくく、苦しさだけが先に来ます。そのため「もっと吐けば声になる」と息の量を増やしてしまい、漏れる息も一緒に増えて、疲れるのに声は大きくならない悪循環へ戻ります。お腹で押して息を送り込む癖は、たいていここから始まります。この閉じ具合を実際に声を出しながら手探りで見つける練習を支えるのは、SVCボーカルスクールのお仕事です。
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この記事を監修した人
小久保よしあき科学的ボイストレーナー・SVCボーカルスクール代表
指導歴は2012年から。総クライアント2,000人以上、レッスン時間は約20,000時間(2026年7月時点)。SVC科学的ボーカルコーチ養成講座で認定コーチ74名(2026年8月時点)を輩出しています。
公開 2026年7月13日(更新 2026年9月8日)