サビの高い音で、声がひっくり返ってしまう。これは根性や才能の問題ではありません。体の仕組みで説明できます。そして、練習で変えていけます。
- 裏返りの正体は「2つの筋肉のバトンタッチの失敗」
- 裏返る場所は毎回ほぼ同じ。そこには名前がある(換声点)
- 必要なのは高い声を張り上げる練習ではない
1声の中で起きていること
まず、裏返りは偶然起きるものではありません。ほぼ毎回、同じ高さで起きます。
この場所には名前がついています。「換声点(かんせいてん)」と呼ばれています。
声の高さを変えるとき、喉の中では2つの筋肉が働いています。ざっくり言うと、低い声を支える筋肉と、高い声を作る筋肉です。
イメージはリレーのバトンタッチです。低い音から高い音へ向かうにつれて、主役の筋肉がだんだん交代していきます。
このバトンタッチがなめらかに進まず、一気に切り替わってしまった瞬間があります。それが「裏返り」の正体である可能性が高いです。
2考えられる原因
バトンタッチが失敗する理由は、主に3つ考えられます。
低い声の筋肉だけで、高い音まで頑張ってしまうパターンです。限界の高さまで来ると、支えきれずに一気に外れます。
「限界まで苦しくなってから裏返る」感覚がある人は、このタイプの可能性があります。
地声と裏声を混ぜたような中間の声は、ミックスボイスと呼ばれます。これは特別な第3の声ではありません。2つの筋肉がバランスよく働いている状態のことです。
この状態を体がまだ知らないと、換声点での切り替えが急になります。
実は、換声点のあたりの歌いやすさは、条件しだいで大きく変わります。「あ」「い」などの母音や、声の大きさで難易度が変わるのです。
たまたま難しい条件の曲ばかり歌っていて、裏返りやすくなっている可能性もあります。
3必要な練習の方向性
ここまでを踏まえると、答えはシンプルです。必要なのは、高い声を張り上げる練習ではありません。「バトンタッチをなめらかにする」練習です。
方向性は3つあります。
①裏声と地声を、似た音色でつなぐ練習をします。②大きな声ではなく、弱い声で丁寧に換声点をまたぎます。③またぎやすい母音(「え」「お」など)から始めて、少しずつ広げます。
ひとつ注意があります。裏返り方には、タイプがあります。引っ張りすぎて外れる人と、早めに抜けてしまう人では、合う練習が逆になることがあります。
自己流の練習がうまくいかない理由で、いちばん多いのがこれです。
※声の違和感や痛みが続く場合は、発声練習より先に耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
あなたの裏返りがどのタイプかは、実際の声を聴いてみないと分かりません。
SVCの体験レッスンでは、トレーナーがあなたの声を分析します。そのうえで、今の状態に合わせた練習メニューを組みます。
LINEで体験レッスンに申し込む申し込みの際に「高い声で裏返る」とひとこと添えてください。当日の分析がスムーズになります。