歌声のお悩み相談室 #06
よくあるお悩み
「ミックスボイスらしき声は出るんですが、弱いし裏声とあまり変わらない気がします。まだ特別な声を身につけられていないんでしょうか?」
その弱さは、特別な声が出せないのではなく「配合が片寄っている」だけです。
ミックスボイスらしき声は出る。でも弱いし、裏声とあまり変わらない気がする。それは「特別な声をまだ身につけられていない」のではなく、地声と裏声のバランスの調整が途中なだけである可能性が高いです。
01
ミックスの正体は、2つの筋肉のバランスです。
声には、地声を支える筋肉と、高い声を作る筋肉があります。ミックスボイスは、そのどちらも働いている状態のこと。これを独立した「第3の発声」と見るか、地声・裏声の延長にある調整と見るかは、いまも研究者のあいだで見解が分かれています。ただ、練習で鍵になる点はどちらの立場でも同じです。2つの筋肉のバランスをどう作るか、ここに尽きます。
ミックスが裏声っぽくて弱いのは、このバランスが裏声側にかたよっている状態である可能性が高いです。裏声の筋肉はしっかり働いているのに、地声の筋肉がまだ少ししか参加していない。だから音色が細く、裏声とあまり変わらなく聞こえます。つまり「出せていない」のではなく、地声と裏声の配合が片寄っているだけです。
地声と裏声はグラデーションでつながっています。弱いミックスは、現在地が裏声寄りにかたよっている点に改善ポイントがあります。
02
必要なのは張り上げることではなく、地声の感覚を少しずつ足していくことかもしれません。
ここで多くの人が、逆の方向へ行きがちです。弱いままそろえようとすると、いつまでも裏声寄りから抜け出せません。かといって力いっぱい強く出すと、今度は喉が締まってしまいます。多くの場合、必要なのはその中間で、力まずに、地声側の感覚を少しずつ混ぜていくことです。やることは3つです。
- バランスを取りやすい母音と子音の組み合わせから始める。声を張らずに、軽く出せるものを選ぶ。
- 軽く出せる範囲で、地声側の感覚を少しずつ混ぜながら音色をそろえる。力まないように、最初は鼻歌くらいの軽さから始め、慣れたらその軽さを保ったまま地声感を足していく。
- 安定してきたら、少しずつ音量と、扱う母音・子音を広げる。
まずは軽さを保って音色をそろえるところから始めます。そこを出発点に、地声の感覚を少しずつ足していきます。
03
まず試すなら、軽く鳴る場所を見つけて、そのまま母音へ開くという順番です。
方向性だけでは動きにくいので、手順をひとつ書いておきます。道具は要りません。1回3分ほどで終わります。
- 楽に出せる低めの高さで、ハミングかリップロールをします。声を大きくしないでください。唇や鼻のあたりがふるえて、少ない息でも音が鳴っている感じを探します。
- その鳴りを保ったまま、5音くらいの上がり下がりを2、3回します。途中で裏返っても止めなくて大丈夫です。裏返った高さを覚えておきます。
- 鳴っている感じを残したまま、「ン」から「ナ」へ口を開きます。開いたとたんに音が細くなるようなら、開くのが早すぎます。1に戻ります。
- 開けた高さから、半音ずつ上げていきます。鳴っている手応えが消える高さが、今日の上限です。そこで終わりにします。
ねらいは、少ない息でも声が鳴りやすい状態を先に作り、その感覚を保ったまま母音へ移すことです。ハミングやリップロールのように口の先を狭める発声は、効果を調べた研究もある練習法です。
弱い音量でバランスを探している最中は、いい声にも上達している声にも聞こえず、手応えがほとんどありません。しかも自分のかたよりが裏声側なのか地声側なのかは歌っている本人にはまず判別がつかず、取り違えたまま練習すると進むどころか元の癖を強めてしまいます。この見えないバランスを支え、正しい向きへ整えるのは、SVCボーカルスクールのお仕事です。
NEXT
あなたのバランスがどちらに偏っているか、聴かせてください。
どちらに・どれくらい偏っているかは、実際の声を聴かないと分かりません。体験レッスンでは、トレーナーがあなたの声を分析し、あなたにあった練習メニューをお渡しします。
LINEで体験レッスンに申し込む
LINE登録 → 日程調整 → 体験レッスン(入会不要)
この記事を監修した人
小久保よしあき科学的ボイストレーナー・SVCボーカルスクール代表
指導歴は2012年から。総クライアント2,000人以上、レッスン時間は約20,000時間(2026年7月時点)。SVC科学的ボーカルコーチ養成講座で認定コーチ74名(2026年8月時点)を輩出しています。
公開 2026年7月13日(更新 2026年9月8日)